今日の一枚(チャイコフスキー ピアノ協奏曲第一番、アルゲリッチ、キリル・コンドラシン指揮 バイエルン放送交響楽団)

 この演奏で一番憔悴したのは指揮者の今度裸身、いやコンドラシンであろう。じゃじゃ馬アルゲリッチに引っ張られること30数分。アルゲリッチの一人舞台といっていい。それについていったコンドラシンバイエルン放送交響楽団もすごい。コンドラシンはこの後、1981年3月、病弱だったテンシュテットの代役での演奏会(マーラー一番)後ホテルで絶命するのである。このチャイコフスキーのピアノコンの演奏は約1年前の2月。この演奏で寿命は数年縮んだと思う。それほどの演奏である。緩急をつけながらも、要所要所では猛然と指揮者を押さえてかっ飛ばしていく。それこそ痛烈な演奏である。特に第3楽章の最初の打鍵からはもう止まらない。アルゲリッチは実はアルゼンチン生まれなのである。情熱な人なのかもしれない。因みに今年サンフランシスコシンフォニーとのコンサートがドタキャンされた。絶対一度は聴いてみたい演奏家なのである。